会社でSAS検査を実施する費用・進め方と睡眠改善の取り組み比較2026年版

公開日: 2026年8月16日 ・ 最終更新: 2026年8月24日

人事担当者が健康経営ダッシュボードを確認している様子 会社でSAS検査(睡眠時無呼吸症候群検査)を実施するには、産業医と連携した受診勧奨・費用補助のしくみを整えるのが現実的な第一歩です。 費用は簡易型スクリーニングで1人あたり3,000〜10,000円程度が相場ですが、実施形態によって大きく異なります。さらに、2026年7月14日の経済産業省・健康経営推進検討会でSAS検査を含む睡眠改善の取り組みが健康経営度調査の独立設問として新設される方針が示されており、人事・総務担当者にとって今が整備を検討する好機といえます。


目次

SAS検査とは何か、なぜ今「会社で実施」が注目されているのか

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる状態で、日中の強い眠気・集中力低下・事故リスク増加と関連します。タクシー・トラック・鉄道などの運輸業では業務上の安全管理として早くから注目されてきましたが、近年はオフィスワーカーの生産性低下との関連でも重視されています。

背景となる統計として、睡眠6時間未満の割合は約4割に上り(令和元年 国民健康・栄養調査)、睡眠不足の従業員は離職率が1.54倍になる傾向が示されています(独立行政法人経済産業研究所)。また、6時間未満の睡眠はうつ病リスクが2.5倍になる傾向も報告されています。こうした数値が「睡眠は個人任せ」から「会社が関与すべき健康課題」へと認識を変えつつあります。

2026年度の健康経営度調査に睡眠設問が新設される方針

2026年7月14日の経済産業省・健康経営推進検討会において、令和8年度(2026年度)の健康経営度調査に睡眠に関する設問(Q55)を新設する方針が示されました(現時点では素案・確定ではありません)。これまで睡眠は生産性低下防止策の一部として他の項目と束ねられていましたが、独立した設問として分離される方向です。

新設予定のQ55では、以下7つの取り組みからの選択式(複数回答可)になる見込みです。

選択肢 取り組みの内容
1 リフレッシュルームや仮眠室を設置している
2 パワーナップ等仮眠制度を導入している
3 執務室内の照明を工夫している
4 SAS検査を実施している(費用補助を含む)
5 睡眠改善・休憩取得促進アプリを利用できるようにしている
6 睡眠改善目的のウェアラブルデバイスを配布している(費用補助を含む)
7 産業医・臨床心理士・保健師等による睡眠関連指導を実施している

認定への点数への影響は現時点では公表されていませんが、設問が独立することで「何も実施していない」状態が可視化される構造になります。


7つの取り組みを費用・難易度・効果範囲で比較する

人事チームが睡眠施策の比較表をホワイトボードで検討している 下表は、Q55の7択を「費用感」「導入難易度」「カバーできる課題」の軸で整理したものです。自社の規模・体制に合わせて選択する際の参考にしてください。

取り組みの型 費用感(目安) 導入難易度 主にカバーできる課題 健康経営度調査Q55との対応
仮眠室・リフレッシュルーム設置型 設備投資数十万〜 高(場所・設備が必要) 昼間の眠気・短時間回復 選択肢1
仮眠制度(パワーナップ)型 ほぼ0円〜 低〜中(就業規則改定) 昼間の眠気・集中力 選択肢2
照明工夫(サーカディアン)型 照明機器費 数万〜 中(工事が伴う場合も) 覚醒リズム・メラトニン調整 選択肢3
SAS検査・費用補助型 1人3,000〜10,000円/回目安 中(産業医連携が必要) 重症睡眠障害の早期発見・受診促進 選択肢4
アプリ・セルフケア型 数百〜数千円/人/月 低(配布のみ) 日々の睡眠習慣・自己管理 選択肢5
ウェアラブルデバイス配布型 デバイス費+管理費 中(データ管理体制が必要) 継続的睡眠モニタリング・セルフケア 選択肢6
産業医・専門職指導型 指導料・外部委託費 高(専門職確保が必要) ハイリスク者の個別支援 選択肢7

ポイント: SAS検査単体(選択肢4)は重症者の発見に特化していますが、「検査を受けていない多数の従業員の日常睡眠」には届きません。デバイス配布(選択肢6)やアプリ(選択肢5)と組み合わせることで、全従業員をカバーしつつハイリスク者を医療機関へつなぐ流れが作れます。


会社でSAS検査を実施する具体的な進め方

ステップ1: 産業医・保健師と実施設計を協議する

SAS検査は医療行為に関連するため、産業医の関与が不可欠です。「誰に受けてもらうか(全員/ハイリスク者/希望者)」「簡易スクリーニングか精密検査か」「費用補助の範囲」を事前に決めます。

ステップ2: スクリーニング方式を選ぶ

職場でよく使われる形式は主に2種類です。

  • 問診票・アンケート型: ESS(眠気評価尺度)などを用い、低コストでリスク者をふるいにかける。費用はほぼ0円。
  • 簡易ウォッチPSG(携帯型測定器)貸し出し型: 医療機関または産業保健サービス会社から機器を借り、自宅で一夜測定する。費用は1人3,000〜10,000円程度(医療機関・委託先による)。

ステップ3: 結果に応じた受診勧奨ルートを設ける

検査結果で「SASの疑い」が出た従業員には、医療機関への受診を案内します。SAS検査や睡眠モニタリングツールはあくまで受診の目安に気づくためのものであり、診断・治療は医療機関が行います。 疑いがあれば必ず医師への受診を促してください。

ステップ4: 日常の睡眠管理体制を整える

検査は「点」の把握ですが、睡眠の質は毎日変動します。継続的なモニタリングとセルフケア支援を組み合わせることで、検査だけでは見えなかった従業員の状態変化を把握できます。ここでデバイス配布やアプリが補完的な役割を果たします。


Welly Compassの睡眠プログラムでできること

運輸会社の管理者がタブレットで従業員の睡眠傾向データを確認している Welly Compassは、ストレスチェック・健診データ管理・勤怠連携・クロス分析を1つにまとめた法人向け健康経営クラウドです(issin株式会社・東京大学アントレプレナープラザ発、ISO/IEC 27001:2013認証取得)。法人・自治体160以上への提供実績、アプリ利用者17万人規模のサービスです。

睡眠に関しては睡眠プログラム(オプション)が用意されており、SAS検査単体では届かない「継続的な睡眠モニタリング」を職場で実現できます。

スマートリカバリーリングによる継続測定

2.2mm・3g・充電最大7日・IP68/5ATM対応のスマートリカバリーリングを従業員へ配布し、睡眠を継続測定します。管理画面では全体傾向を把握でき、本人の同意を得た場合に限り個人データも閲覧できます。個人情報の取り扱いは従業員同意を前提とした設計です。

管理者が確認できる機能

  • 組織全体の睡眠傾向ダッシュボード
  • 睡眠時無呼吸症候群に関するアラート機能(疑いの気づきを促す目的。診断ではありません)
  • ストレスチェック・健診データとのクロス分析

従業員が使えるアプリ機能

  • 睡眠アンケート・AIチャット
  • アクションカード・いびきチェック
  • 寝る前ストレッチなどのセルフケアコンテンツ

タクシー会社の導入事例

睡眠不足に起因する事故リスクと健康不安を課題としていたタクシー会社では、リング配布・管理者による睡眠モニタリング・睡眠時無呼吸症候群アラート・自己管理アプリでのリテラシー向上を実施。運転手の体調管理の高度化と安全文化の醸成につながった事例があります。SAS検査と組み合わせることで、「検査で発見→受診勧奨→日常的なモニタリングで継続管理」というサイクルを構築できます。

料金(税抜)

項目 料金
デバイス料金 20,000円/回
管理画面ID連携 500円/人/月
睡眠改善セミナー 80,000円/回
ストレスチェックプラン(初期費用) 0円
ストレスチェックプラン(50名未満) 50,000円
ストレスチェックプラン(50名以上) 250円/名(最低50,000円)

料金プランの詳細はこちら


FAQ:人事担当者からよくある質問

Q1. SAS検査は会社に義務があるのですか? A. 現時点では、SAS検査の実施を企業に義務付ける法令はありません。ただし、運輸業では国土交通省が乗務員への睡眠時無呼吸症候群対策を指導しており、業種によって対応温度差があります。2026年度の健康経営度調査への設問新設(素案段階)を機に、先行して整備を進める企業が増えています。

Q2. 健康経営優良法人の認定に影響しますか? A. 新設設問の配点は現時点で公表されていないため、認定への具体的な影響は断言できません。ただし、設問が独立することで「何も実施していない(選択肢9)」が明確に記録される構造になります。認定を目指す企業は、自社の規模・体制に合った取り組みを1つ以上選択することを検討してください。

Q3. 小規模企業(50名未満)でも現実的に実施できますか? A. 費用・体制の面では、アプリ活用(選択肢5)や仮眠制度の整備(選択肢2)が導入しやすい傾向があります。SAS検査(選択肢4)も産業医と連携した問診票スクリーニングから始めれば費用を抑えられます。なお、2028年4月からは50名未満の事業場にもストレスチェックが義務化される方針が示されており、睡眠との関連設問も含めた健康管理体制の整備を早めに進める価値があります。

Q4. ウェアラブルデバイスで収集した睡眠データは誰が見られますか? A. Welly Compassの睡眠プログラムでは、管理者が個人データを閲覧するには本人の同意が必要です。同意なく個人データが会社側に共有される設計にはなっていません。管理者は組織全体の傾向を把握し、本人は自身のデータをアプリで確認・自己管理するという役割分担になります。

Q5. SAS検査で「疑い」が出た従業員にどう対応すればよいですか? A. 速やかに医療機関(呼吸器内科・睡眠外来等)への受診を案内してください。検査ツールやアラート機能はあくまで「受診の目安に気づくため」のものであり、診断・治療は医師が行います。受診勧奨後のフォローを産業医・保健師と連携して行う体制を事前に整えておくことが重要です。


まとめ:SAS検査はゴールではなく、睡眠対策の「入口」

会社でSAS検査を実施することは、重篤な睡眠障害を抱えた従業員を早期に発見し、医療につなぐ大きな意義があります。一方で、検査は「ある日の点」を測るに過ぎず、日常の睡眠の質を継続的に底上げするには、アプリやウェアラブルデバイスとの組み合わせが効果的です。2026年度の健康経営度調査への睡眠設問新設という流れの中で、「SAS検査だけ入れる」より「複数の取り組みを組み合わせる」方が体制として厚みが増します。

Welly Compassの睡眠プログラムは、ストレスチェック・健診データとのクロス分析も可能なため、睡眠だけを単独で管理するのではなく、従業員の健康状態を多角的に把握する基盤として活用できます。初期費用0円から始められるストレスチェックプランと合わせて、まずは自社の健康経営体制を整えるところから検討してみてください。

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