共同研究
issinは、東京大学発のヘルスケアスタートアップとして「無意識のうちに家族の健康維持・増進ができる社会」を目指し、プロダクトを通じて得られる知見を大学・医療機関との共同研究に活かしています。ここでは、その取り組みについてご紹介します。
共同研究に取り組む背景
issinが開発する「スマートバスマット」は、日常の入浴の延長線上で体重や体組成を継続的に記録できるプロダクトです。無理なく続けられる計測の仕組みは、生活習慣病の予防や重症化予防に役立つ一方で、実際に医療・臨床の現場でどのような効果を発揮しうるのかは、大学や医療機関との協働による科学的な検証を通じてはじめて明らかになります。
issinは今後も、自社サービスを通じて得られるデータやプロダクトの強みを、大学・医療機関の専門的知見と掛け合わせることで、予防医療・母子保健・生活習慣病対策など、社会的意義の大きい研究テーマに継続的に取り組んでいきます。
体重管理に基づく周産期合併症予防に向けた個別化アプローチの実装研究
| 学会 | 第79回日本産科婦人科学会学術講演会(令和9年/2027年) |
|---|---|
| シンポジウム | トランスレーショナルリサーチが切り開く周産期医療における新たな治療戦略 (座長:小谷 友美 先生/浜松医科大学、辻 俊一郎 先生/滋賀医科大学) |
| 演者 | 田野 翔 先生(名古屋大学) |
| 共同研究先 | issin株式会社(スマートバスマットを活用した共同研究) |
背景・目的
日本産科婦人科学会学術講演会は、国内の産婦人科領域における最大級の学術集会です。本シンポジウムは「トランスレーショナルリサーチ」をテーマに、基礎研究の知見を実際の周産期医療にどう橋渡ししていくかを議論する場として企画されており、その演題の一つに、名古屋大学とissinが共同で取り組んできた研究テーマが選出されました。
妊娠・出産を経た女性の心身のケアを継続する「インターコンセプションケア」という考え方、および体重管理を軸に周産期合併症を予防するアプローチは、これまで体系立った医療の枠組みとして十分に確立されていませんでした。今回、このテーマがトランスレーショナルリサーチ特集シンポジウムの演題として選出されたことは、名古屋大学と進めてきたインターコンセプションケアの取り組みが、周産期医療における新しい治療戦略として画期的であると評価されたことを意味しています。
取り組み内容
本演題は、issinのスマートバスマットによる継続的な体重計測と、名古屋大学が構築してきた周産期合併症リスク予測モデルを組み合わせ、体重管理に基づく周産期合併症予防のための個別化アプローチを、臨床現場でどのように実装していくかを検証する研究です。AMEDの研究開発事業として進めてきた共同研究の知見を土台に、その社会実装に向けた検討をさらに深める内容として発表される予定です。
今後について
本演題は2027年開催の学会にて発表予定です。発表内容の詳細や成果については、確定次第あらためて本ページに掲載いたします。
Capturing goal content from free text in weight loss: an exploratory pilot on feasibility, reliability, and early outcomes
(減量における目標内容のフリーテキストからの把握:実行可能性・信頼性・初期アウトカムに関する探索的パイロット研究)
| 実施機関 | 東京大学大学院医学系研究科・医学部 健康科学専攻 健康科学講座(Department of Health Communication) |
|---|---|
| 著者 | Tomomi Nagasawa, Tsuyoshi Okuhara, Yuriko Nishiie, Hiroko Okada, Takahiro Kiuchi |
| 共同研究先 | issin株式会社(研究協力契約に基づく共同研究) |
| 掲載誌 | BMC Research Notes(2026年6月25日公開) |
| DOI | 10.1186/s13104-026-07925-0 |
背景・目的
減量に取り組む人が自ら言葉にする「目標」の内容を理解することは、一人ひとりに合わせた体重管理支援を考えるうえで重要な手がかりになります。しかし、こうした自由記述による目標内容を、再現性高く収集・分類する手法はこれまで十分に確立されていませんでした。
本研究では、目標の背後にある価値観を掘り下げる「ラダリング法」の考え方を取り入れた自由記述の収集・分類プロトコルを新たに開発し、その実行可能性と評定者間の信頼性を予備的に検証するとともに、目標内容と動機づけの質、短期的な体重変化との関連を探索することを目的としました。
取り組み内容
BMIが25kg/m²以上の成人を対象に、issinが提供する3か月間のデジタル行動変容型減量プログラムの参加者に、自由記述形式の設問を2問実施しました。得られた回答は、動機づけの理論的枠組みであるAspiration Index(AI)およびGoal Content for Weight Maintenance Scale(GCWMS)の2種類の枠組みに基づき、訓練を受けた2名の評定者がそれぞれ独立してコーディングしました。
issinは、東京大学との研究協力契約のもと、プログラムの運営支援や参加者募集への協力、また同社のスマートバスマットを通じて取得した匿名化済みの利用記録・体重測定データの提供を行いました。なお、研究デザイン・統計解析・データの解釈・論文執筆・投稿の意思決定には一切関与していません。
得られた成果
2名の評定者間の一致度はきわめて高く(Cohen's κ = 0.91)、開発した分類プロトコルの信頼性が確認されました。分類できなかった(「その他」に分類された)回答の割合は、AIで2.1%、GCWMSで19.1%となり、AIの枠組みの方が今回のデータへの適合性が高いことが示されました。目標内容のカテゴリー間で動機づけの質に大きな差は見られませんでした(偏η² = 0.005〜0.032)が、探索的なモデルでは、プログラムへの関与度(エンゲージメント)が体重減少と正の関連を示す一方、自律的な動機づけは今回の短い観察期間では負の関連を示すという結果が得られました。
妊娠合併症予防のための健康アプリ等の実用化に向けた研究開発
| 事業名 | 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)令和6年度「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業」 予防を目的とした健康アプリ等の実用化に向けた研究開発 |
|---|---|
| 代表機関 | issin株式会社(代表取締役 程 涛) |
| 分担機関 | 名古屋大学医学部附属病院 総合周産期母子医療センター |
| 研究期間 | 令和6年7月~令和7年3月 |
背景・目的
現在の周産期医療体制では、妊娠中に比べて産後の健康管理における体系的なアプローチが不足しており、出産後から次回妊娠までの心身のケアを行う「インターコンセプションケア」の確立が喫緊の課題となっています。中でも、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病といった周産期合併症の抑制・予防は重要なテーマです。
この課題に対し、名古屋大学では年間のBMI(体格指数)変化量に関する知見をもとに、周産期合併症リスクを予測するモデルを構築してきました。本研究開発では、この予測モデルの社会実装に向けて、issinが提供する健康アプリにモデルを実装し、リスクの可視化が産褥婦の行動やアウトカムに与える効果を検証します。
取り組み内容
名古屋大学医学部附属病院などで産後健診・インターコンセプションケア外来を受診した18歳以上の健康な産褥婦を対象に、以下の臨床研究を実施します。
- issinが開発したバスマット一体型の体重計「スマートバスマット」を用いた、日常生活における継続的な体重計測
- 健康アプリ上に実装したリスク可視化機能による目標設定と、生活習慣改善を促す保健指導
- 周産期合併症リスクを可視化した介入群と、可視化を行わない対照群との比較による、体重管理・行動変容への効果検証
期待される成果
本研究を通じて、周産期合併症リスクの可視化機能を搭載したスマートバスマット・アプリケーションを一般消費者向けに提供していくことを目指します。また、多くの利用者から得られるデータを蓄積し、名古屋大学との共同研究を継続することで、リスク可視化モデルの精度を今後さらに高めていく予定です。
今後の共同研究について
issinでは、本件以外にも大学・研究機関との連携を進めています。今後の研究の進展や新たな成果については、本ページにて順次公開してまいります。共同研究にご関心をお持ちの大学・研究機関の皆さまは、お問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
※本ページに掲載している研究内容は、各研究の代表機関・分担機関の公表情報および国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の公開情報をもとに作成しています。研究の進捗に伴い、目的・内容・体制等は変更となる場合があります。
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