AMED「研究開発基盤整備事業」採択のお知らせ
issinおよび名古屋大学が参画する研究テーマ「妊娠合併症予防のための健康アプリ等の実用化に向けた研究開発」が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が公募した令和6年度 「予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(健康・医療情報活用技術開発課題)」に採択されたことをお知らせします。
本事業では、IoTデバイスを用いて取得した個人の日常生活の健康データを基に、生活習慣病等の予防・管理・改善等に貢献するビジネスモデルの創出を将来に見据えて、個人の行動変容の促進、生活習慣病等の患者への効果的な指導・管理、神経疾患患者の早期の重症化予防、術後のケア等、医療現場等での活用にむけた安全性や有効性等に係る科学的なエビデンスの構築、交換規約を介した健康関連情報等の統合的な解析、活用についての実証等を行い、研究成果が社会に実装されることを目標としています。
予防・健康づくりの社会実装に向けた研究開発基盤整備事業(健康・医療情報活用技術開発課題)について:https://www.amed.go.jp/program/list/12/02/002.html
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概要
1. 採択された課題名
「妊娠合併症予防のための健康アプリ等の実用化に向けた研究開発」
2. 研究開発期間(全研究期間)
令和6年 8月 1日(予定) ~ 令和 7年 3月31日(0.75年間)
3. 研究代表者
issin 代表取締役 程涛
4. 課題の概要
issinは本事業で、出産にリスクを感じている女性に対して、「スマートバスマット」「スマートデイリー」「目標体重を導き出すアルゴリズム」を用いて、妊娠合併症予防のための健康アプリ等の実用化に向けた研究開発を行い、妊娠間の健康管理(インターコンセプションケア)の支援を行います。
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研究背景・目的
現在の周産期医療体制では、体系的な産後の健康管理ケアが不足しており、母体の健康状態が次の妊娠に与える影響についての理解が限られています。妊娠・出産を入口として妊娠間の健康管理(インターコンセプションケア)を切れ目なく支援することが求められています。特に、妊娠高血圧症候群(HDP)や妊娠糖尿病(GDM)の予防が重要な課題とされています。
名古屋大学は、年間BMI変化量を基にしたHDP・GDM等の周産期合併症リスク予測モデルを開発し、その妥当性を証明しました(*1,2)。この研究により、間妊娠期のBMI変化が周産期合併症リスクに与える影響が明らかになりましたが、その対策を実現するためのアプローチまでは至っていません。実際、産後健診は主に乳児を対象としており、母体への検診は不足しています。
この課題を解決するため、issinはこの研究成果をもとにリスクの可視化と減量モチベーション向上を目的としたnon-SaMD(非医療機器プログラム)を開発し、社会実装することを目指しています。
(*1) Tano S, Kotani T et al. Annual Body Mass Index Gain and Risk of Gestational Diabetes Mellitus in a Subsequent Pregnancy. Front Endocrinol (Lausanne). 2022
(*2) Tano S, Kotani T et al. Annual body mass index gain and risk of hypertensive disorders of pregnancy in a subsequent pregnancy. Sci Rep 2021.
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実用化・将来展望について
本事業は「出産にリスクを感じている女性」を対象としており、成長市場とされる「フェムテック」に該当します。2021年の市場規模は前年比107.7%増の642億9700万円と推計されており、今後も成長が予測されています(矢野経済研究所 2022 フェムケア&フェムテクマーケット(消費財・サービス)より)。
また昨今、晩婚化と女性の社会進出の影響を受け、出産年齢が上昇しています。特に第一子出産時の平均年齢は過去40年間で5歳上昇し、2022年には平均31歳で第一子を出産しています。また、この傾向は今後も続くと予想されています(厚生労働省「人口動態統計月報年計」)。しかし、30代・40代女性の肥満率は20代よりも高く、約100万人が高BMIによる妊娠合併症リスクを抱えています(厚生労働省「2019年国民健康・栄養調査1」)。
本事業では、「スマートバスマット」「スマートデイリー」「目標体重設定システム(名古屋大学医学部付属病院と研究開発協力)」を用い、肥満かつ高齢の方の出産リスクを軽減することを目指しています。これにより、晩婚化や女性の社会進出等の社会的状況によって発生した出産年齢の上昇・出産のリスク上昇に対し一石を投じることとなります。
本事業が達成された際には、「スマートバスマット」アプリに周産期合併症リスク可視化機能を搭載し、一般消費者に提供する予定です。また、そこで得られたデータを活用して研究を継続し、リスク可視化の精度を向上させていく想定です。これにより、出産にリスクを感じている多くの女性に貢献できると考えています。